見えにくい格差

貧しい人ほど損をし、裕福な人ほど得をする社会の構造

現代の消費社会において、「お得」や「節約」といった言葉は頻繁に使われていますが、それらの恩恵を実際に受けられるかどうかには、経済的な余裕の有無が大きく影響します。

例えば、キャッシュレス決済のキャンペーンがあります。特定の期間中にまとめ買いをするとポイントが多く還元されたり、一定額以上の購入でキャッシュバックが受けられるといった仕組みです。これは一見すると誰にでも平等に見えるかもしれません。しかし、実際にこの恩恵を受けられるのは、ある程度の経済的余裕がある人たちです。なぜなら、必要のない物も含めて「今のうちに買っておく」ことができるからです。

一方で、日々の生活費で手一杯な人は、必要な分だけしか購入できません。そのため、割引や還元の機会を逃し、結果的に単価の高い買い物を繰り返すことになります。このようにして、生活の中に潜む「目に見えない格差」は、日々の買い物という些細な場面においても明確に表れます。

確かに、税制においては累進課税制度が存在し、所得の高い人ほど多く税金を負担する仕組みにはなっています。しかしながら、日々の消費行動における不平等には、制度的な是正措置がほとんど存在しません。お得なキャンペーンや割引といった機会が、実質的には「お金に余裕がある人だけの特権」となっているのです。